相見積もりとは
相見積もりとは、依頼する側が同じ条件を複数の事業者に提示し、提出された見積の金額と内容を比較して発注先を決める進め方です。ホテルの宴会・MICEセールスでは、催事の相談が届いた時点で、同じ要件がすでに他館にも渡っていることがあります。
相見積もりであることが明示されていれば、ホテル側は比較条件や提出期限を確認できます。本記事では、相見積もりを前提に回答の中身と順序をどう設計するかを整理します。
ひと目でわかるポイント
相見積もりは、同じ条件を複数の事業者に出して比較する進め方です。
国の随意契約では、予算決算及び会計令が「なるべく二人以上」から見積書を徴すると定めています。
見積を同じ基準で比較できるよう、受領時に前提条件を確認します。
競合するホテル同士で価格や受注予定者を取り決めると、独占禁止法上の不当な取引制限に該当し得ます。
日本で相見積もりが前提になる場面
国の随意契約では、予算決算及び会計令第99条の6が「なるべく二人以上」から見積書を徴するよう定めています。地方公共団体では、地方自治法施行令第167条の2が随意契約によることができる場合を定める一方、見積書を徴する人数は各団体の契約規則・財務規則等に定められています。契約の性質や緊急性、契約金額、相手方が1者に限られる事情などにより、1人のみの徴取や省略を認める例もあります。
民間企業でも、社内の決裁で複数社の比較資料が求められることがあります。依頼元で稟議を経る案件では、担当者が会場の選定理由を説明する場合があります。見積書に比較項目と条件を明記すると、選定理由を整理する際の資料になります。
依頼を受けたときに確認すること
見積を同じ基準で比較できるよう、受領時に次を確認します。
比較の軸:総額か、1名あたりか、含む項目の範囲か。何を並べて判断するかを尋ねます。
提出の期限と形式:期限、様式の指定、税別か税込か、電子データの形式。
決定の時期と決裁の段階:いつまでに、どの範囲の承認を経て決まるのか。
未確定の要素:人数の変動幅、予備日、まだ決まっていない演出や機材。
確認の往復を減らすため、質問は一度にまとめて送ります。
比較されることを前提にした整え方
比較表に転記しやすいよう、総額だけでなく内訳と条件を整理して記載します。下表は、依頼元が比較表に並べる項目と、こちらが書いておく内容の対応です。
比較表に並ぶ項目と記載の対応 | |
比較される項目 | 見積に書いておく内容 |
|---|---|
総額 | 税別額、サービス料の料率と対象、サービス料を含む課税対象額、適用税率と消費税額、税込総額、端数処理 |
会場 | 会場名、利用時間、設営・撤去を含むか、レイアウト別の収容人数 |
料飲 | 提供形式、1名あたりの単価、食物アレルギーや宗教上の食事制限への対応 |
機材 | 料金に含まれる品目と数量、追加時の単価 |
条件 | 見積の有効期間、仮予約の期限、取消料が発生する時点と料率 |
なお国税庁は、ホテル等が料理代金と別に徴収するサービス料も飲食物の提供に係る対価の一部としています。書き方はサービス料と消費税のガイドにまとめています。
値下げ以外で比較検討を支える工夫
回答の順序を設計する:受領後は、自館で定めた期限内に受領確認と提出予定日を伝え、指定された提出期限より余裕をもって見積書を送ります。
選択肢を添える:必要に応じて、標準案と上位案、または会場違いの複数案を添えます。単一案でも、内訳、含まれる項目、利用条件を明記すれば、金額以外の比較材料を示せます。
要件の再掲を冒頭に置く:受け取った条件を言い換えて最初に書くと、要件を読み取ったことが伝わります。会場が伝わる資料を添える:レイアウト図や設営の写真は判断材料になります。下見を先に提案する方法もあります。
やってはいけないこと
競合するホテル同士が、見積価格、受注予定者、受注条件など本来自主的に決める事項を共同で取り決め、一定の取引分野における競争を実質的に制限すれば、独占禁止法上の不当な取引制限に該当します。依頼元から他館の見積内容を示されても、その情報を用いて他館と連絡・合意することは避け、自館が独自に価格と条件を決定します。
条件を変えて提出することも比較の前提を崩します。前提を変えて提案したい場合は、依頼された条件どおりの見積を先に出し、代替案は別案として添えます。
架空の事例:自治体の記念式典
相見積もりへの回答を比べるため、架空の自治体案件を設定します。ある自治体の担当者が、150名の記念式典について3館に同じ条件で見積を依頼したとします。この自治体の契約規則と内部手続では、複数の見積書を添付する必要がありました。
A館は総額のみを記した見積を期限当日に提出しました。B館は期限の3日前に、要件の再掲、標準案と上位案、含む機材の品目と数量、有効期間と取消料が発生する時点を1つの資料にまとめて提出しました。担当者はB館の資料をそのまま決裁資料に添付でき、A館については機材の内訳を追加で照会する必要が生じました。この架空例では、決裁資料として使える情報がそろっているかどうかが追加照会の有無を分けました。
今週から始めるチェックリスト
相見積もりであることを確認する定型の質問文を用意する。
比較表に並ぶ項目に対応する見積の記載欄を、雛形に固定する。
受領確認と提出予定日の案内について、自館の目標時間と文面を決める。
標準案と上位案の出し方を、催事タイプごとに決めておく。
他館の情報を受け取ったときの社内対応の方針を明文化する。
失注した案件の理由を記録する欄をつくる。
よくある質問
Q. 相見積もりだと伝えられたら、価格を下げるべきですか。
価格の判断は自館の基準によりますが、下げること以外にも比較で残る方法はあります。含む内容の明確さ、選択肢の提示、回答の速さは、金額を変えずに調整できる要素です。
Q. 他館の見積内容を教えられた場合はどうすればよいですか。
自館が独自に価格と条件を決定し、その情報を用いて他館と連絡・合意することは避けます。競合するホテル同士が見積価格や受注予定者などを共同で取り決め、競争を実質的に制限すれば、不当な取引制限に該当します。
Q. 国や地方公共団体の案件で、複数の見積書が求められるのはなぜですか。
国の随意契約では、予算決算及び会計令第99条の6が「なるべく二人以上」から見積書を徴するよう定めています。地方公共団体では、各団体の契約規則・財務規則等が複数見積の要否や省略条件を定めています。必要な見積数と様式は案件ごとに依頼元の指定をご確認ください。
Q. 失注したとき、理由を尋ねてもよいですか。
差し支えのない範囲で伺い、記録に残す方法があります。金額、日程、会場条件のどれで決まったかが分かると、次の依頼への備えになります。
比較されることを、こちらの設計に変える
相見積もりの依頼を受けたら、比較条件を確認し、内訳と利用条件を同じ資料で確認できるように整えます。ホテルの宴会・MICEセールスのための管理システムを提供するルーブックでは、Roovook Sales Engineが自館サイトからの相談を受け止め、Roovook e-RFPではデジタル見積をモバイル対応のWebリンクとして共有できます。提出までの速さと記載の揃え方を一緒に整えたい方は、お問い合わせフォームからご相談ください。