KPIの運用定着とは
KPIの運用定着とは、決めた指標について継続して同じ定義で入力・確認できる状態のことです。本記事では、指標の算式ではなく、誰が・どの入力契機で記録し、欠損をどう検知し、振り返りをどう運営するかを扱います。算式そのものは宴会・MICEセールスKPIの定義で整理しています。
ひと目でわかるポイント
項目を増やすことと運用定着は別です。入力されない項目が残ると、集計そのものが止まる場合があります。
担当・入力契機・必須項目を決め、欠損率を確認します。
本記事の指標数・試行期間・入力契機は自館の試行例であり、業界標準ではありません。
振り返りの運営と、人事評価への反映は別の決定として扱います。
判断目的と指標候補を決めます
指標は判断のために使います。最初に、その指標で何を決めるのかを一文で書きます。「回答が遅れている受付方法を見つける」「申込みに至らない条件を確認する」のように、次に取る行動まで含めて書きます。
本記事では、試行の一例として、プロセス指標と結果指標を各一つ選びます。選ぶ数、入力者、入力契機、試行期間は、既存の業務量と確認目的に合わせて自館で定めます。
段階 | 決めること | 確認する内容 |
|---|---|---|
1 | 判断目的 | その指標で何を判断し、次に何をするか |
2 | 指標候補 | プロセス指標と結果指標から選ぶ数 |
3 | 定義 | 分子・分母・期間基準・集計基準日(記事1参照) |
4 | 入力責任・期限 | 入力者、入力契機、必須項目、未入力確認者 |
5 | 振り返り | 欠損確認を含む確認の場と頻度 |
入力責任者・入力契機・必須項目を決めます
記録が欠ける原因は、入力の意思ではなく手順に現れることがあります。受付を担当した本人が入れるのか、一人がまとめて入れるのかを決めます。入力契機は、受付時と回答送付時のように業務の流れの中に置きます。
一括入力と都度入力のどちらでも、入力期限と未入力確認者を定めます。必須項目は当面の指標に使う項目に絞ります。将来使うかもしれない項目を最初から並べると、空欄が増えて集計できない列が残ります。
欠損の検知方法を決めます
数値を比較する前に、記録が欠けていないかを確認します。欠損は受付方法ごとに偏ることがあるため、受付方法別に確認します。
欠損率:必須項目が空欄の案件数を、同期間の案件数で割った値
未入力の照合:受付の記録と案件の記録の件数を突き合わせる担当と時点
入力の遅れ:入力期限を超えた案件の件数と、その受付方法
対応の自動化で扱える工程の切り分けは問い合わせ対応の自動化を始める手順にまとめています。
定義のずれを先に合わせます
同じ言葉を担当者ごとに違う意味で使っていると、数値が合いません。運用を始める前に、次の言葉について自館の定義を確認します。
問い合わせ1件:同一催事への複数回の連絡をどう数えるか、社内からの照会を含めるか
申込み:契約成立を確認した時点か、申込書を受領した時点か
定義を決めたら、記録する画面や表の項目名も同じ言葉にそろえます。定型業務の点検は定型業務を点検する五つの場面で扱っています。
振り返りの運営と評価設計を分けます
集計を見る場は、既存の定例に組み込むか新設するかを、会議体と参加者の負荷を確認して決めます。見る順序は、データ品質(欠損と遅れ)の確認、数値の確認、次に確認する案件の決定とします。
担当者ごとの数値を人事評価へ用いる場合は、定義、データ品質、担当範囲、異議申立て手順を人事・現場で確認します。これはKPI運用とは別のガバナンス上の決定です。社内承認が必要な案件では、承認の手順と時期も記録の項目として残します。
4名で試行する場合で考えます
宴会セールス4名のチームで試行する状態を想定します。1か月目は判断目的と2項目の定義を決め、記録する項目名をそろえます。2か月目は入力を続け、欠損率と入力の遅れだけを確認します。3か月目に前月との比較を始めます。この期間は説明のための想定であり、標準の試行期間ではありません。
この想定では、2か月目の時点で電話受付分の必須項目が空欄になっていました。数値の比較よりも、入力責任者と入力契機の見直しを先に行う、という順序になります。
運用定着のチェックリスト
その指標で何を判断するかを一文で書く
プロセス指標と結果指標から、自館の試行として選ぶ数を決める
分子・分母・期間基準・集計基準日を文書に残す
問い合わせ1件と申込みの定義をチームで合わせる
記録する画面や表の項目名を定義と同じ言葉にする
入力責任者・入力契機・必須項目・入力期限・未入力確認者を決める
欠損率と入力の遅れを受付方法別に確認する
確認の場を既存の定例に組み込むか新設するかを決める
人事評価へ用いる場合は定義・データ品質・異議申立て手順を別途決める
よくある質問
Q. 宴会セールスのKPIは何項目から始めるとよいですか。
本記事では試行の一例として、プロセス指標と結果指標を各一つの計2項目としています。選ぶ数は既存の業務量と確認目的に合わせて自館で定めます。項目を増やす前に、欠損率を確認します。
Q. 現場から入力の負担が増えると言われた場合、どこを見直しますか。
必須項目と入力契機を見直します。当面の指標に使わない項目を外し、受付時や回答送付時のように業務の流れの中に入力契機を置きます。一括入力と都度入力のどちらでも、入力期限と未入力確認者を定めます。
Q. KPIを担当者の人事評価に使ってよいですか。
KPI運用とは別の決定として扱います。用いる前に、定義、データ品質、担当範囲、異議申立て手順を人事・現場で確認します。
指標の運用を一つの流れにする
本記事では、判断目的の絞り込みから入力責任、欠損確認、振り返りの運営までを扱いました。どの段階も、記録が同じ場所に残っていることが前提になります。
ホテルの宴会・MICEセールスのための管理システムを提供するルーブックでは、問い合わせ内容、案件ステータス、見積履歴を一つの流れで管理できるRoovook EMSを提供しています。イベント別・期間別の集計にはRoovook Sales Report(Sales-Engine Pro以上)をあわせてご利用いただけます。
指標を決めたのに、数か月後には誰も入力していない——その運用の立て直しから相談したい場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。