宴会・MICEセールスのKPIとは
宴会・MICEセールスのKPIとは、問い合わせの受付から申込み、実施までの過程を同じ定義で数え、前月や前年と比べられる形にした数値のことです。本記事では六つの測定項目を、過程を測るプロセス指標と、成果を測る結果指標に分けて整理します。
ひと目でわかるポイント
六項目は測定の対象が違うだけで、相互に排他的な分類ではありません。同じ案件が複数の項目に数えられます。
率の項目では、分子・分母・対象期間・集計基準日を先に固定します。定義を変更した期間は前年値との単純比較を避け、変更内容を注記します。
客室稼働率(OCC)・ADR・RevPARは客室の指標です。宴会場に同じ式を適用しません。
数え方を決める前に、問い合わせと案件の記録がどこに残るかを確認します。
プロセス指標と結果指標に分けて数えます
件数・時間・率・金額・枠を一つの表に並べると、単位の違うものが同じ列に入ります。同じ表で示す場合は、別列・別単位として表示します。本記事では次のように分けます。
指標群 | 項目 | 測定対象と単位 |
|---|---|---|
プロセス指標 | ①問い合わせ件数 | 受付方法ごとの案件数(件) |
プロセス指標 | ②初回回答までの時間 | 受付から最初の回答まで(時間) |
プロセス指標 | ③受付から申込みまでの日数 | 申込みに至った案件の所要日数(日) |
結果指標 | ④問い合わせ成約率 | 受付期間のコホートに対する割合(%) |
結果指標 | ⑤催事1件あたりの請求総額 | 実施済み催事の確定金額(円) |
結果指標 | ⑥会場枠利用率(自館定義) | 実施済みの催事が利用した枠の割合(%) |
確認頻度は、目的とデータの確定時点に応じて自館で定めます。どの項目も表題に対象期間と集計基準日を併記します。
プロセス指標の三項目
①問い合わせ件数は、受付方法(フォーム・電話・メール・来館など)ごとに数えます。重複の除外は、同じ主催者かどうかではなく同一催事への複数回の連絡かどうかで判定します。同一主催者の別催事は別案件として数えます。受付方法と、主催者がホテルを知ったきっかけ(認知経路)は別の項目です。両者の違いは問い合わせ経路の記録で整理しています。
②初回回答までの時間は、受付の時刻から最初の回答を送った時刻までを測ります。営業時間外や休業日に受け付けた分の扱いを先に決めます。③受付から申込みまでの日数は所要時間の測定であり、申込みに至った案件だけを対象にします。検討が続いている案件と見送りになった案件は別に数えます。
結果指標の三項目
④問い合わせ成約率は、受付日が対象期間内で、かつ集計基準日までに申込み(自館の契約成立基準を満たした案件)へ移行した重複除外案件数を、同期間に受け付けた重複除外案件数で割った値とします。基準日時点で検討中の件数は率と別に示します。案件の段階の区分は見込み案件管理の五段階にまとめています。
⑤催事1件あたりの請求総額は、実施済みの催事について確定した請求金額で集計します。税抜きと税込みのどちらでそろえるかを決めます。⑥会場枠利用率は業界共通の算定式ではなく自館定義とし、本記事では販売可能な枠(会場×日×時間帯)のうち実施済みの催事が利用した枠の割合とします。将来の確定予約枠、仮予約、取消しは別に集計します。
分子・分母と集計基準日を先に固定します
率を使う項目では、分子と分母のどちらを動かしても数値が変わります。項目ごとに、対象案件、分子と分母の定義(率のみ)、期間基準(受付日か実施日か)、集計基準日、変更履歴を文書に残します。
対象期間を受付日で区切るか実施日で区切るかによって、同じ案件が別の月に入ります。項目ごとにどちらで区切るかを決め、変更した場合は変更日を記録します。
客室の指標と宴会の指標は分けて扱います
客室稼働率(OCC)は、対象期間の販売客室数(延べ室数)を販売可能客室数(延べ室数)で割った値です。ADR(平均客室単価)は同期間の客室売上を販売客室数で割った金額、RevPARは客室売上を販売可能客室数で割った金額(またはADRとOCCを小数で掛けた値)です。いずれも客室の指標であり、宴会場の枠や1名あたり単価に同じ式を適用しません。
団体案件で客室と宴会の両方を扱う場合も、客室の指標と宴会の指標は別の表に置きます。団体案件の成約率が上がったことから客室稼働率の上昇を導くことはできません。
月40件の問い合わせを集計する場合で考えます
ある宴会セールスチームが、1か月に40件の問い合わせを受け付けた状態を想定します。内訳はフォーム22件、電話14件、メール4件です。同一催事への重複連絡2件を除くと38件になります。この38件のうち、集計基準日時点で申込み9件、検討中11件、その他(見送り・連絡終了)18件と状態を分けます。本記事の定義による問い合わせ成約率は9÷38で約23.7%です。
この想定では、電話14件について初回回答までの時間が記録に残っていませんでした。
指標を決めるチェックリスト
六項目のうち、自館で先に使うものを選ぶ
項目ごとに対象案件・分子・分母・期間基準・集計基準日・変更履歴を文書に残す
重複除外を同一催事への複数連絡で判定する規則を決める
営業時間外・休業日に受け付けた分の扱いを決める
請求総額を税抜きと税込みのどちらでそろえるか決める
会場枠の単位(会場×日×時間帯)と集計基準日を決める
受付方法ごとに記録が欠けていないかを確認する
客室の指標と宴会の指標を別の表に置く
よくある質問
Q. 宴会の問い合わせ成約率はどのように計算しますか。
本記事では、受付日が対象期間内の重複除外案件数を分母とし、集計基準日までに申込みへ移行した件数を分子とします。表題に受付期間と集計基準日を併記し、基準日時点で検討中の件数は率と別に示します。
Q. 客室のRevPARを宴会場にも使えますか。
RevPARは客室売上を販売可能客室数(延べ室数)で割った客室の指標です。宴会場は販売可能な枠の定義が施設ごとに異なるため、同じ式を適用せず、本記事の会場枠利用率のように自館で算定方法を定めて集計します。
Q. 問い合わせ件数の重複はどこまで除外しますか。
同一催事について同じ主催者から複数回連絡があった場合を重複として除外します。同一主催者でも別の催事であれば別案件として数えます。判定の規則を文書に残し、集計担当の間でそろえます。
指標の集計を一つの流れにする
本記事では六つの測定項目と、定義を固定する手順を扱いました。どの項目も、問い合わせと案件の記録が同じ場所にそろっていることが前提になります。
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