宴会セールスの引き継ぎとは
宴会セールスの引き継ぎとは、担当者が交代する際に、進行中の案件と確定予約、そして主催者とのやり取りの経緯を次の担当者が扱える形に整理して渡すことです。宴会・MICE案件では、問い合わせから実施までの間に条件が変更されることがあります。担当者交代後も経緯を確認できるよう、合意事項と変更履歴を記録して引き継ぎます。
ひと目でわかるポイント
本記事では、引き継ぐ情報を「進行中の案件」「確定予約」「顧客情報・対応履歴」の三つに分けて整理します。
契約は申込みと承諾によって成立し、法令に特別の定めがない限り書面の作成は成立要件ではありません。口頭で合意した例外条件も、後任者が内容と経緯を確認できるよう記録して引き継ぎます。
顧客情報の取扱いは、自社の規程と個人情報保護法に沿った範囲で行います。
引き継ぎ書に入れる6つの項目
本記事では、進行中の案件、確定予約、例外条件、顧客情報・対応履歴、関係部門との調整事項、未解決事項の六つを引き継ぎ項目の例として挙げます。
引き継ぎ書の記載項目の例 | |
項目 | 記載する内容 |
|---|---|
進行中の案件 | 案件名・実施予定日・想定人数・段階・次の対応 |
確定予約 | 契約書と宴会申込書の所在、確定条件、入金の状況 |
例外条件 | 標準と異なる料金・締切・付帯条件と、その合意の根拠 |
顧客情報・対応履歴 | 過去の実施実績、担当窓口、確認済みの要望 |
関係部門との調整 | 調理・宴会サービス・施設との申し合わせ事項 |
未解決事項 | 回答待ち、社内で判断が保留になっている点 |
とくに確認するのは、例外条件と未解決事項が文書化されているかどうかです。前任者だけが把握している事項があれば、合意経緯、現状、次の対応を記録します。
進行中の案件は、段階と次の対応をそろえて渡す
進行中の案件は、件数だけでなく、案件段階、次の対応、担当者、期限まで記載します。これにより、後任者が優先順位と次の対応を確認できます。
案件段階の整理例として、「問い合わせ受付」「下見」「提案・見積提出」「条件調整」「申込み・承諾」「確定予約」を用います。実際の段階名は自館の業務フローに合わせます。あわせて直近のやり取りの日付と、主催者側の窓口の氏名・役職を記します。
提案を出した案件では、提出した見積の版と条件を残します。口頭で伝えた前提が見積書や電子メールに記録されていない場合は、担当者交代後に条件の認識が食い違うおそれがあります。
確定予約は、合意の経緯まで含めて渡す
確定予約では、宴会申込書、契約書、利用規約、見積書、電子メールなど、合意内容と成立経緯を確認できる資料の所在と、それらに記載されていない合意の有無を確認します。文書の名称だけで契約成立時点が決まるわけではないため、申込みと承諾の経緯も記録します。
標準の締切より遅い人数確定や、会場費(室料・施設利用料)の調整が口頭のままでは、交代後に合意内容の確認や立証が難しくなるおそれがあります。
取消しの申出があった場合は、当該契約に適用される宴会申込書、利用規約、個別合意等を確認し、取消料の起算日、算定基礎、実費の扱いと資料の所在を引き継ぎ書に記載します。考え方は宴会の取消料の考え方で確認できます。
入金の状況も、金額だけでなく、申込金・前受金(前受代金)の別と、残額の支払期限まで記します。
顧客情報・対応履歴は、残す範囲を先に決める
実施実績や確認済みの要望を記録する場合も、個人情報は、特定された利用目的の達成に必要な範囲内で取り扱います。記録項目、アクセス権限、保存期間、削除手順は自社規程に従います。
次回提案のために記録する場合は、過去の催事種別、人数、利用会場、提供メニューなど、特定した利用目的に照らして必要な項目を選びます。個人の嗜好に関する記述は、必要性と取扱いの範囲を確認したうえで扱います。
催事の種類で変わる確認点
婚礼:複数回の打合せで決定事項が積み重なる案件について、決定済み事項と未決事項を明確に分けます。
定例催事・株主総会:翌年も開催する意向が確認できた場合は、次回案件や仮予約を確認します。周年記念は開催周期を記録します。
学会・大型催事:関係部門や外部事業者が複数にわたる場合は、調整窓口と担当範囲を一覧にします。
宿泊を伴う催事:客室部門との取り決めがある場合、その内容と担当者を記します。
架空の事例:引き継ぎ期間が2週間の場合
次は説明のための架空の事例です。前任者の異動・退職まで残り2週間であると仮定します。
最初の3日で、進行中の案件と確定予約を一覧にし、実施日順に並べます。次の1週間で、後任者を打合せに同席させて主催者に紹介し、合意事項と未決事項を確認します。最後の数日で、例外条件と未解決事項を文書化し、関係部門にも共有します。
この配分では、実施日が近い案件を優先しています。期間が長い案件は、交代後に条件を確認し直す時間が残るためです。
引き継ぎのチェックリスト
進行中の案件について、段階と次の対応、期限、主催者側の窓口を記載しましたか。
提出済みの見積の版と、そこに記録されていない前提の有無を確認しましたか。
標準と異なる条件について、合意内容と成立経緯を確認できる記録を残しましたか。
入金の状況を、申込金・前受金(前受代金)の別と支払期限まで記載しましたか。
関係部門との申し合わせ事項を、担当者名とともに残しましたか。
顧客情報の取扱い範囲を、利用目的と自社規程に照らして確認しましたか。
よくある質問(FAQ)
宴会セールスの引き継ぎ書には何を書けばよいですか。
本記事では、進行中の案件、確定予約、例外条件、顧客情報・対応履歴、関係部門との調整事項、未解決事項の六つを例として挙げています。案件ごとに次の対応と期限を書き添えると、交代後に動きやすくなります。
ホテル宴会で口頭合意した例外条件は、担当者交代時にどのように引き継ぎますか。
契約は申込みと承諾によって成立し、法令に特別の定めがない限り書面の作成は成立要件ではありません。口頭で合意した例外条件も、契約の有効性とは別に、主催者の確認内容を書面または電子メールに記録して引き継ぎます。契約書や宴会申込書に反映すべき内容であれば、変更の手続きを取ります。
宴会顧客の個人情報は、担当者交代時にどこまで引き継げますか。
顧客情報は、特定された利用目的の達成に必要な範囲内で引き継ぎます。利用目的を超えて取り扱う場合は、法令上の例外に該当する場合を除き、あらかじめ本人の同意が必要です。あわせて、自社規程で定めるアクセス権限、保存期間、削除手順に従います。
担当が代わっても、履歴がつながる仕組みを
問い合わせ、予約、顧客メモが分散している場合は、引き継ぎ時に収集と照合が必要です。ホテルの宴会・MICEセールス向け管理システムを提供するルーブックでは、Roovook CRM・リードスコアリング(Sales-Engine Pro以上)で、問い合わせ・予約履歴、累積売上、担当者メモなどを顧客企業単位で確認できます。Roovook Inquiry Dashboardでは、問い合わせ内容、担当者、状態、対応履歴を一つのインボックスで管理できます。担当交代時の収集と照合を減らしたい場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。