インセンティブ旅行(報奨旅行)とは
インセンティブ旅行(報奨旅行)とは、企業が成績優秀者や顧客などを旅行に招待し、表彰や特別な体験を提供する旅行です。観光庁はMICEの「I」を「企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)」と定義しています。日本政府観光局(JNTO)の案内では、表彰式やガラディナー、チームビルディングなどが組み込まれ、保険会社、メーカー、ネットワークビジネスの分野で盛んであること、日系企業の海外法人が日本へ来るケースが多いことが紹介されています。本記事では、宴会と客室が同時に動くこの案件を、ホテルの宴会セールスが一つの提案にまとめるときの確認項目を整理します。
ひと目でわかるポイント
本記事では提案項目を、宿泊、表彰式・会食、会議・研修、地域体験・移動の四つに整理します。案件ごとに必要な項目を確認します。
JNTOの案内では、開催地は主催企業の担当者が複数の提案から選び役員の承認を得る方法が多いとされ、国際会議に比べ実施までのリードタイムが短いと説明されています。
客室と宴会を別々に見積もる場合は、総額も確認できるよう一つの提案書にまとめ、返室期限と有料人数の確定期限を分けて記載します。
四つの提案項目と確認事項
提案項目 | 内容の例 | 自館で確認する項目 | 確認する期限の例 |
|---|---|---|---|
宿泊 | 参加者の客室、同伴者の客室、役員の客室タイプ | 確保室数、客室タイプ、ルーミングリストの提出方法 | 返室期限(カットオフ日)、名簿の提出期限 |
表彰式・会食 | 表彰式、ガラディナー、懇親会 | 会場、レイアウト、舞台・音響、献立、飲料の精算方式 | 有料人数の確定期限 |
会議・研修 | 方針説明会、新製品発表、研修 | 会議室、機材、進行 | 機材・レイアウトの確定期限 |
地域体験・移動 | 文化体験、工場見学、チームビルディング、送迎 | 自館が手配する範囲と紹介にとどまる範囲 | 手配先の申込期限、取消条件 |
四項目はJNTOの案内に挙げられたプログラム例を本記事で整理したものです。チームビルディングは内容・実施場所に応じて会議・研修か地域体験のどちらの担当が扱うかを決めます。
案件が届く経路と決定の方法
JNTOの「開催地決定までの流れ」では、海外の企業や旅行会社からの案件は、JNTOのほか、ホテルや施設、コンベンションビューロー、DMC(Destination Management Company)などに直接連絡が入るケースが多いとされています。提案はコンベンションビューローやDMCが地元の情報とともに行う形が多く、開催地がすでに決まっている場合と、候補の一つに残っている段階の問い合わせがあります。
JNTOは、インセンティブ旅行では主催企業の担当者が提案を選び、役員の承認を得る決め方が多いと説明しています。ホテル側では、問い合わせの相手が主催企業か、旅行会社・DMCか、契約当事者は誰かを最初に確認します。依頼者の区分に応じた見積書の調整は依頼者の区分に応じた宴会見積書の調整で扱っています。
客室と宴会を一つの提案にまとめる
客室の確保数と宴会の人数は、同じ参加者数から出発しても期限と精算の考え方が異なります。客室は確保した室数のうち未予約分を返す返室期限(カットオフ日)と、最終利用室数が合意した最低利用室数を下回った場合の精算条件を、宴会は有料人数の確定期限と最低保証条件を、それぞれ分けて記載します。客室側の用語は客室ブロックとは?カットオフ・予約実績・アトリションの管理で扱っています。
提案書には、ホテルの見積対象と、紹介先との直接契約・別払いとなる項目を分け、合計額に含む範囲を明記します。1名当たりの目安を示す場合は、全員共通の費用と一部参加者のみの費用を区別して算定します。
表彰式・会食の進行で確認すること
表彰式は式典の区間と会食の区間で必要な設営が異なります。登壇経路、表彰の順序、記念撮影の並び方と立ち位置、料理の提供時刻を主催者と確認し、進行表に反映します。進行の組み立ては企業の表彰式の企画ガイドで扱っています。
参加者に必要な言語(司会・表示)、食事対応(宗教上の制限、ヴィーガン、食物アレルギー)の申告期限、飲料の精算方式(時間制の定額か実数精算か)を見積の段階で確認します。氏名と結び付いた病歴等を含む食事情報は要配慮個人情報に当たるため、受領前に本人同意等の手続と保管・削除方法を確認します。
80名の販売代理店の報奨旅行を想定する
海外の日系企業が、販売代理店の成績優秀者80名を対象に2泊3日の報奨旅行を計画し、旅行会社を通じてホテルに問い合わせた場面を想定します。担当者は、契約当事者が旅行会社であることを確認したうえで、ツイン40室の確保(返室期限は主催者と協議)、2日目夜の表彰式と会食(有料人数の確定期限を別に設定)、1日目午後の方針説明会の会議室、2日目午前の文化体験プログラムの紹介先を、一つの提案書にまとめます。
この想定は説明のための架空の例です。室数や日程の配分は案件ごとに異なります。
インセンティブ旅行の問い合わせを受けたときのチェックリスト
問い合わせの相手(主催企業、旅行会社、DMC)と契約当事者を確認する
開催地が決定済みか、候補の一つかを確認し、回答予定日を伝える
宿泊、表彰式・会食、会議・研修、地域体験・移動のうち必要な提案項目を確認する
返室期限と有料人数の確定期限を別の項目として記載する
ホテルの見積対象と別払いの項目を分け、合計額に含む範囲を明記する
言語、食事対応の申告期限、飲料の精算方式を見積の段階で確認する
よくある質問
Q. インセンティブ旅行はMICEのどれに当たりますか。
「I」に当たります。観光庁はこれを「企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)」と説明しています。
Q. インセンティブ旅行の開催地はどのように決まりますか。
JNTOの案内では、主催企業のイベント担当者が複数の提案から選択し、役員の承認を得る方法が多いとされています。
Q. 客室の返室期限と宴会の有料人数の確定期限は同じ日にできますか。
同じ日に設定する場合もありますが、別の概念です。返室期限は未予約分の客室を通常販売に戻す基準日、有料人数の確定期限は料理等を用意し料金算定の基礎とする人数を通知する期限で、それぞれ自館の規約に基づいて設定します。
客室と宴会を一つの流れで受ける
ホテルの宴会・MICEセールスのための管理システムを提供するルーブックでは、団体宿泊の問い合わせを受け付けるRoovook Group Bookingsと、問い合わせ内容、案件ステータス、見積履歴を一つの流れで管理できるRoovook EMSを提供しています。
客室は宿泊予約、宴会は宴会予約と担当が分かれ、主催者に総額を示すまでに何度も社内で照合している——受付の一本化については、お問い合わせフォームからご相談ください。