宴会・MICEセールスの見込み案件管理とは
見込み案件管理とは、ホテルの宴会場・MICEセールスに届いた問い合わせ案件(本記事では第三者からの紹介を含めて「見込み案件」と呼びます)を、受付から契約または終了までの段階に分けて記録し、各案件の現在の段階と次の行動を担当者以外も確認できる状態にしておく業務です。
宴会・団体行事では、問い合わせ後に条件を調整してから申込みに進む案件があります。本記事は、段階の区切り方、受付チャネルごとの記録項目、対応順の決め方の整理例を示します。時系列の応対記録は本記事では「対応履歴」と呼びます。
ひと目でわかるポイント
見込み案件を受付・条件確認・提案・調整・終了の五段階に分け、各案件の段階と次の行動を記録します。
受付チャネル(電話・自館サイト・紹介・外部の会場検索サイト)ごとに、記録する項目と受付確認メールの担当を決めます。
対応順は受付順だけでなく、開催日までの日数、主催者の回答希望日、確認事項の充足状況を記録して判断します。
担当者ごとのファイルに分散させず、閲覧権限を持つ担当者間で同じ記録を見る形にします。
宴会・MICEで見込み案件管理が必要になる理由
第一に、会場費(室料)、料飲、客室、音響・映像設備などの組み合わせによって見積額は変わります。第二に、主催者側の検討や承認の過程で、見積書の修正や会場下見(会場見学。以下「下見」)が行われることがあります。第三に、複数の受付チャネルから同時期に届く問い合わせについて、重複対応と未対応を識別できる記録が必要です。取りこぼしが起きる場面は宴会問い合わせの取りこぼしを防ぐ七つの点検場面で整理しています。
受付から終了までの五段階
段階の名称や数は施設ごとに異なります。以下は本記事の整理例で、自館の承認・契約手続きに合わせて段階と移行条件を調整します。本記事の運用例では、各案件の現在の段階と次の行動を確認できるようにします。
段階 | 定義 | 次の行動の例 |
|---|---|---|
①受付 | 問い合わせが届き、担当者が未定または未対応 | 担当者の割り当て、受付確認メールと回答予定日の送付 |
②条件確認 | 目的、予定人数(未確定の場合は最少人数と最大人数)、希望日程、予算の目安など、見積りと提案に必要な条件を確認中 | 不足項目の質問、下見の提案 |
③提案 | 見積書・レイアウト案を送付し、下見を実施 | 見積書の送付、見積送付後の確認連絡 |
④調整 | 人数、構成、条件、日程をすり合わせ中。判断延期や開催延期は保留としてここに残し、次回確認日を記録 | 修正版の見積書、仮予約の回答期限の案内 |
⑤終了 | 受注(契約内容を示した申込みを当館が承諾し、自館の規約に照らして契約成立を確認した状態)、失注を区別して記録 | 宴会申込書・宴会指示書の準備、結果と理由の記録 |
段階を分ける目的は、案件が止まる箇所を記録から確認することです。条件確認で止まる案件が続く場合は受付確認メールの遅れや確認項目の不足を、調整で止まる場合は見積書の構成や説明順序を点検します。本記事では「仮予約」「確定」を案件の進捗を管理する社内ステータスとして扱います。ステータス名だけで契約成立を判断せず、自館の宴会場利用規約と個別の申込み・承諾内容に照らして確認します。契約は、契約内容を示した申込みに相手方が承諾した時に成立し(民法第522条第1項)、法令に特別の定めがある場合を除き、契約成立に書面の作成その他の方式は必要とされません(同条第2項)。
受付チャネルごとの記録項目
電話で受けた問い合わせは、日時、相手、要点、次の行動を記録します。通話内容から特定の個人を識別できる場合、その内容は個人情報に該当します。個人情報取扱事業者は、個人情報保護法第21条第4項の例外に当たる場合を除き、利用目的をあらかじめ公表するか、取得後速やかに本人へ通知または公表します。自館サイトのフォームで尋ねる項目と社内の記録項目を対応させ、受付後に転記または連携できるようにします。外部の会場検索サイトからの問い合わせは、媒体名と施設への連絡経路を記録します。紹介案件では、認知経路として「紹介」を記録します。紹介者の氏名を記録する場合や紹介者へ進捗を伝える場合は、利用目的、必要性、主催者の意向を確認します。チャネル別に比較する場合は、項目の定義、入力時点、未確認時の扱いもそろえます。経路の記録方法は問い合わせ経路を記録する方法で扱います。
対応順の決め方
受付日時だけの並び順には、開催日までの日数や主催者の回答希望日は反映されません。本記事では、受付日時に加えて、開催日までの日数、主催者の回答希望日、確認事項の充足状況(目的・人数・日程・予算がそろっているか)を記録し、自館の方針に沿って対応順を決める方法を想定します。点数化する場合も、根拠となる項目を記録に残します。
150名の周年記念パーティーの問い合わせで考える
電話で150名の周年記念パーティーの問い合わせを受け、担当者が手帳にメモを残したまま出張に出た場合を想定します。代理の担当者は主催者からの再連絡で初めて把握する設定です。同じ問い合わせが共有の記録に「①受付・担当者未定・回答希望日〇月〇日」と入力されていれば、代理の担当者が受付確認メールと回答予定日を送れます。違いは、記録の場所と、段階・次の行動の有無にあります。
今週から始めるチェックリスト
自館の段階名と各段階の移行条件を文書化する。
受付チャネルごとに記録項目と受付確認メールの担当・期限を決める。
対応順の判断に使う項目(開催日・回答希望日・充足状況)を記録に加える。
失注の理由の選択肢を決め、終了時に記録する。保留は④調整に残し、次回確認日を記録する。
担当者ごとのファイルを共有の記録に統合し、重複登録がないか確認する。
よくある質問
Q. ホテル宴会の見込み案件管理の段階はいくつに分けるべきですか。
法令や業界共通の基準はありません。本記事では受付・条件確認・提案・調整・終了の五段階を例にしています。
Q. 宴会の問い合わせで「仮予約」と「確定」はどう記録しますか。
仮予約と確定は案件の進捗を管理する社内ステータスとして記録します。契約の成立は、自館の宴会場利用規約と個別の申込み・承諾内容に照らして別に確認します。
Q. 電話で受けた宴会の問い合わせを記録に残す際、録音の告知は必要ですか。
個人情報保護委員会のQ&Aでは、通話内容から特定の個人を識別できる場合は個人情報に該当し、個人情報取扱事業者には利用目的を通知または公表する義務がある一方、録音している旨を伝える義務までは個人情報保護法上ないとしています。自館で録音を告知する場合は、告知文言と実施方法を運用に定めます。
分散した問い合わせを一つの流れで管理する
段階、次の行動、期限を更新し、閲覧権限を持つ担当者間で共有します。ホテルの宴会・MICEセールスのための管理システムを提供するルーブックでは、Roovook Inquiry Dashboardでオンライン・電話・メールなどの問い合わせを一つのインボックスで管理し、Roovook EMSで問い合わせ内容、案件ステータス、見積履歴を一つの流れで管理できます。担当者ごとのファイルに分かれた案件をチームの記録にまとめたい方は、お問い合わせフォームからご相談ください。