共有案件記録とは
共有案件記録(案件台帳・CRM等)とは、電話や来館で受けた案件の内容を、担当者個人の手元ではなくチームで参照できる場所に、決めた項目で残したもののことです。本記事では、記録項目、正本の保存先、更新の責任者と契機、閲覧権限の設計を扱います。
ひと目でわかるポイント
記録の目的は情報を増やすことではありません。前回の条件・回答内容を確認して対応できる状態にすることです。
項目ごとに正本(その項目の真正な記録)をどこに置くかを決めます。同じ項目が複数の場所にあると最新版を判断できません。
主催者の担当者氏名や連絡先は個人情報です。法人名のみでも、個人事業の屋号等で特定の個人を識別できる場合は個人情報になり得ます。
自館の情報セキュリティ規程で許可していない端末・アカウントには保存しません。
情報が担当者個人に留まる場面
電話で受けた条件、口頭で伝えた概算、下見での会話は、その場でメモに残っても共有先が決まっていないことがあります。担当者が不在の日の問い合わせ、担当交代、翌年の再依頼の三つの場面で、記録がどこにあるかを確認します。担当交代の手順は引き継ぎチェックリストで扱っています。
記録する項目を先にそろえます
項目をそろえると、後から受付方法別や催事別に数えられます。集計対象にする値は選択肢又は定型項目にも記録し、会話の細部は自由記述の欄に分けます。電話で受けた内容の聞き取り項目は電話問い合わせを台帳に記録する方法に整理があります。
区分 | 記録する項目 |
|---|---|
案件基本情報 | 受付日時、受付方法、催事の種類、希望日、予定人数(未確定の場合は最少人数と最大人数) |
提示・見積の版 | 提示した会場、見積書の発行日、改訂日または版番号、仮予約の回答期限 |
対応履歴 | 連絡手段、回答した内容、継続対応事項、次回確認日 |
案件ステータス・結果 | 案件の状況、申込日または見送りの記録日、見送りの理由 |
正本の保存先と更新の責任者を決めます
同じ案件の情報が複数の場所にあると、どれが最新かを判断できません。項目ごとに正本の保存先を決め、それ以外は参照用とします。表計算ファイルを複数人で編集する場合は、更新の責任者と更新の契機を決めます。
更新の契機は、案件が進んだときだけでなく、回答を送ったときにも設けます。次の担当者が回答済みの条件を確認できるよう、回答内容又は参照先を記録します。
個人情報の利用目的と取得方法を確認します
主催者の担当者氏名、電話番号、メールアドレスは個人情報です。個人情報を取り扱う場合は、個人情報の利用目的をできる限り特定し(個人情報保護法17条1項)、特定した目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱うときは、法令上の例外を除き本人の事前同意を得ます(18条1項)。ここでいう利用目的は催事の開催目的とは別の概念です。
取得の方法によって通知のしかたが変わります。本人がフォーム等の書面(電磁的記録を含む)へ記入して直接取得する場合は、原則として取得前に利用目的を明示します(21条2項)。名刺の受領や口頭での聞き取りは、あらかじめ公表している場合を除き、取得後速やかに本人に通知又は公表します(同条1項)。いずれも、取得の状況からみて利用目的が明らかな場合など同条4項の例外に当たるかを確認します。
閲覧権限と保存期間を決めます
共有は「全員が全部を見る」ことではありません。個人情報取扱事業者は、取り扱う個人データについて、漏えい、滅失又は毀損の防止その他の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じます(23条)。共有台帳では、閲覧・編集権限、認証、持出し、保存期間、削除手順を自館の規程とリスクに応じて定めます。
社外の事業者に取扱いを委託する場合は、利用目的の達成に必要な範囲かを確認し、委託先を必要かつ適切に監督します(25条)。この場合の提供は第三者提供に当たりません(27条5項1号)。委託の範囲を超えて相手方が利用する提供は、原則として本人の事前同意が必要な第三者提供(27条1項)として、例外や共同利用の要件を個別に確認します。通話を録音する場合の整理は通話録音と受付確認メールにまとめています。
3名で月40件を扱う場合で考えます
宴会セールス3名のチームが、1か月に40件の問い合わせを扱う状態を想定します。フォーム受付の22件は入力欄がそろっているため項目が残りますが、電話とメールの18件は担当者ごとの書式で記録されていました。この想定では、電話とメールの記録を先にフォームと同じ項目にそろえます。
共有案件記録に移すチェックリスト
項目ごとに正本の保存先を決め、参照用の場所と区別する
集計対象にする値を選択肢又は定型項目として設ける
回答を送った契機と案件が進んだ契機の両方で更新する
更新の責任者と更新の契機をチームで決める
個人情報に当たる項目を洗い出し、個人情報の利用目的を特定して記載する
取得方法ごとに利用目的の明示・通知・公表のしかたを確認する
閲覧・編集の権限、保存期間、削除手順を規程に定める
自館の情報セキュリティ規程で許可していない端末・アカウントに保存しない
よくある質問
Q. 電話で聞き取った内容を共有案件記録に残すとき、何を必ず入れますか。
受付日時、受付方法、催事の種類、希望日、予定人数、回答した内容、次回確認日を項目として設けます。集計対象にする値は選択肢又は定型項目にし、会話の細部は自由記述の欄に分けます。
Q. 主催者の担当者名や連絡先を社内で共有する場合、個人情報保護法上どこを確認しますか。
個人情報の利用目的をできる限り特定し(17条1項)、その達成に必要な範囲を超える取扱いには法令上の例外を除き本人の事前同意が必要です(18条1項)。取得方法に応じて21条1項または2項の通知・公表・明示と同条4項の例外を確認し、個人データについては安全管理措置(23条)を講じます。
Q. 表計算ファイルでの管理を続けても問題ありませんか。
項目ごとの正本、更新の責任者と契機、権限、保存期間が定まっていれば運用できる場合があります。
記録の集約を一つの流れにする
本記事では、記録項目、正本の保存先、更新の責任者、権限設計を扱いました。共有案件記録は集計や引き継ぎの前提になる部分です。
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