サステナブルなMICEとは
サステナブルなMICEとは、催事の企画から運営、開催後の処理までの環境負荷や資源の消費を減らし、参加者や地域への社会的な配慮と経済的な持続性をあわせて考える開催の考え方です。主催者からサステナビリティへの配慮を求められたとき、ホテルの宴会・料飲部門が確認する日本の制度と、回答に載せてよい範囲を整理します。
ひと目でわかるポイント
宴会に直接関係する国内の制度は、プラスチック資源循環促進法(2022年4月施行)の特定プラスチック使用製品の使用の合理化と、食品ロス削減推進法の努力義務です。
国際規格ISO 20121は催事の運営に関するマネジメントシステムの規格で、2024年に第2版が発行されました。GDS-Indexは都市・目的地の指標で、個々のホテルの認証ではありません。
都市のガイドラインには、主催者だけでなく会場・宿泊・飲食事業者向けの項目もあります。大阪の評価制度は主催者が対象ですが、事業者が申請窓口になることもできます。
回答には、実施済みの取り組みと今回提供可能と確認した対応を区別して書き、実施していない取り組みを表示しません。
宴会で確認する五つの領域
領域 | 確認する項目 | 関係する制度・規格 | 回答に載せる内容 |
|---|---|---|---|
料飲 | 有料人数の確定期限と調理予定数、提供方式 | 食品ロス削減推進法(人数・量の確認)。地元調達は自主的な取り組み | 提供方式と期限、仕入れ先の記載可否 |
備品・廃棄物 | 使い捨て品の提供方法、分別、装飾の再利用 | プラスチック資源循環促進法 | 特定プラスチック使用製品の提供方法 |
エネルギー | 空調・照明の運転時間、未使用区画の消灯 | — | 会場の運用として確認できる項目 |
文書 | 印刷物、見積・契約の電子化、案内の電子配布 | — | 電子で提供できる文書の範囲 |
交通・アクセシビリティ | 公共交通の案内、バリアフリー動線、席の確保 | — | 交通案内・設備・当日の支援内容 |
五領域は本記事の確認枠組みです。
プラスチック資源循環促進法と宴会の備品
プラスチック資源循環促進法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)は2022年4月1日に施行され、商品・サービスに付随して無償で提供される特定プラスチック使用製品12品目(フォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー、飲料用ストロー、ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシ、衣類用ハンガー、衣類用カバー)について、提供事業者に使用の合理化を求めています。対象業種には飲食店と宿泊業が含まれ、前年度の提供量が5トン以上の事業者は「特定プラスチック使用製品多量提供事業者」として、取り組みが著しく不十分な場合に勧告・公表・命令の対象となり、命令に違反した場合は50万円以下の罰金が定められています(環境省 プラスチック資源循環 使用の合理化)。
食品ロスと有料人数の確定期限
食品ロス削減推進法(食品ロスの削減の推進に関する法律)は2019年10月1日に施行され、事業者には、国・自治体の施策への協力と、食品ロス削減への積極的な取り組みが努力義務として定められています(消費者庁)。同法が人数の通知期限や料理形式を指定しているわけではありません。宴会で食品ロスに関係する自館の運用は、料金算定の基礎とする最終確定人数(規約上の有料人数)の通知期限と、実際の調理予定数・変更期限、提供方式の選択です(有料人数の考え方)。
国際規格と都市の仕組みの位置づけ
ISO 20121は、イベントに関わる組織のサステナビリティに関するマネジメントシステムの国際規格で、2024年に第2版(ISO 20121:2024)が発行され、2012年の初版を置き換えました。第三者認証のほかに自己適合宣言などの適合性の示し方があります。GDS-Index(Global Destination Sustainability Index)は都市・目的地の取り組みを測る指標で、個々のホテルや催事に与えられる認証ではありません。
JNTOのサステナビリティのページでは、東京や沖縄がMICE開催のサステナビリティガイドラインを作成していること、大阪が「SDGs for MICE 評価制度」を導入していることが紹介されています。都市のガイドラインには、主催者だけでなく会場・宿泊・飲食事業者向けの項目もあり、ホテル自身が取り組む項目を確認します。大阪観光局の案内では、評価制度の申請は開催3か月前まで、申請費用は10万円(税別)、完全オンライン開催は対象外で、大阪域外からも申請できますが、府外開催では審査委員の交通費が別途かかる場合があります。主催者の要望語を確認項目に置き換える方法は主催者が使う六つのMICEトレンド語を提案の確認項目に置き換えるで扱っています。
200名のセミナーで配慮を求められた場合
企業が200名のセミナーと立食の懇親会を計画し、「環境に配慮した運営にしたい」と要望した場面を想定します。担当者は要望を、飲料用ストロー・マドラーの提供方法、有料人数の確定期限と調理予定数、資料の電子配布、公共交通の案内の四項目に分けて確認します。回答書には、提供方法・期限・電子配布・交通案内について実施できる内容を記載し、認証について尋ねられた場合は、認証の有無と実施している運用を分けて回答します。
サステナビリティの要望を受けたときのチェックリスト
要望を料飲、備品・廃棄物、エネルギー、文書、交通・アクセシビリティの五領域に分ける
特定プラスチック使用製品12品目のうち自館が無償提供する品目と提供方法を確認する
有料人数の確定期限、調理予定数、提供方式を、食品ロスに関係する自館の運用として記載する
ISO 20121の認証の有無と、規格に沿った運用の有無を分けて説明する
都市のガイドライン・評価制度の対象者と参加条件を確認し、会場としての対応範囲を示す
実施していない取り組みを回答書や自館サイトに表示しない
よくある質問
Q. プラスチック資源循環促進法で宴会場に関係する品目は何ですか。
宿泊業は、フォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー、飲料用ストローと、ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシの対象業種です。
Q. ISO 20121の認証を受けていないホテルは、サステナブルな催事に対応できませんか。
ISO 20121は認証の取得を義務づける規格ではなく、自己適合宣言などの示し方もあります。
Q. 大阪の「SDGs for MICE 評価制度」はホテルが申請するものですか。
大阪観光局の案内では申請の対象は主催者で、申請窓口は事業者でも可とされています。ホテルは会場として対応するほか、窓口になる場合もあります。
制度の範囲と自館の運用を分けて回答する
ホテルの宴会・MICEセールスのための管理システムを提供するルーブックでは、Roovook e-RFPで見積書をモバイル対応のWebリンクで共有でき、印刷せずに主催者とやり取りできます。宴会指示書を作成するRoovook BEO・宴会指示書(Sales-Engine Pro以上)では、提供方式と有料人数の確定内容を記載事項として各部門に共有できます。
環境への配慮を求められるたびに、何を答えてよいかを部門ごとに聞き直している——その回答項目の整え方から相談したい場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。