主催者が使うMICEのトレンド語とは
主催者が使うMICEのトレンド語とは、催事の企画担当者が要望書や提案依頼書(RFP)に書き込む、催事の方向性を表す言葉です。本記事では、MICEの要望を整理するための例として、サステナビリティ、ハイブリッド開催、個別対応、ウェルネス、地域性、社会貢献の六つを取り上げます。これらの語は意味の幅が広く、主催者ごとに指す内容が異なります。六つの語を受け取ったときにホテルの宴会セールスが確認する項目と、自館が回答できる範囲の書き方を整理します。
ひと目でわかるポイント
トレンド語はそのまま提案書に転記せず、主催者が具体的に何を求めているかを確認項目に置き換えます。
自館が回答するのは、実施済みの取り組みと、今回提供可能と確認した対応に限り、両者を区別して書きます。
六つの語は相互に排他的な分類ではなく、一つの催事で複数が重なります。
六つの語と確認項目の対応
主催者の語 | 主催者に確認する内容の例 | 自館で確認する項目 | 回答に含める範囲 |
|---|---|---|---|
サステナビリティ(環境面の確認例) | 廃棄物削減、食品ロス、地産食材、使い捨て品の削減 | 料飲・備品で対応できる項目、対応できない項目 | 実施済みの取り組みと、その根拠となる運用 |
ハイブリッド開催 | 会場参加とオンライン参加の併用、録画の要否、視聴専用か双方向か | 配信方式、回線、機材、配信事業者の要否 | 自館が提供・運用する範囲と、配信事業者の範囲 |
個別対応 | 食事制限、席次、VIP対応 | 対応可能な範囲と申告期限 | 対応できる項目と、確認に必要な情報 |
ウェルネス | 休憩時間の設計、軽食の内容、体を動かす時間 | 献立の変更可否、館内・近隣で使える場所 | 提供できる献立と場所の条件 |
地域性 | 地元食材、地域の文化体験、地域事業者の参加 | 仕入れの可否、手配先、外部事業者との契約関係 | 自館が手配する範囲と紹介にとどまる範囲 |
社会貢献 | 地域団体との連携、寄付、参加型プログラム | 主催者が実施する内容と会場側の役割 | 会場として対応する項目のみ |
表の内容例は本記事の整理で、主催者ごとに異なります。サステナビリティは環境面のほか社会・経済面を含む概念で、地域性・社会貢献・ウェルネスと重なる場合があります。
語を確認項目に置き換える手順
要望書やRFPに書かれた語を抜き出し、それぞれについて「何を」「いつまでに」「誰が」実施するのかを確認します。確認した項目は自館の対応可否に分けます。対応できる項目は運用の根拠(献立、備品、設備)とともに、対応できない項目はその旨を記載します。RFPへの回答の組み立て方はRFP(提案依頼書)とは?ホテル宴会・MICEセールスの対応5ステップで扱っています。
ハイブリッド開催と個別対応で分ける範囲
ハイブリッド開催では、回線・電源・映像音声設備と、カメラ・配信PCなどについて、自館と配信事業者のどちらが提供・運用するかを確認し、見積に明記します。配信の条件と見積の分け方はハイブリッド開催とは?会場が確認する配信条件と見積の分け方で扱っています。
個別対応のうち食事制限は、対応できる範囲と申告期限を先に示します。ビュッフェ形式では共用のトングや隣接する料理からの意図しない混入が起こり得るため、個別提供の要否を確認します。氏名等と結び付いた食物アレルギー情報のうち、病歴等を含むものは要配慮個人情報に当たります。主催者から受領する前に、利用目的、取得・提供に必要な本人同意や委託関係、共有先、保管・削除方法を確認します(個人情報保護委員会 ガイドライン(通則編))。単なる好き嫌いや除去希望を一律に要配慮個人情報として扱う必要はありません。
サステナビリティと地域性の回答で確認すること
サステナビリティの要望には、自館が実施している運用と、今回提供可能と確認した対応を区別して書きます。プラスチック資源循環促進法に基づき使用の合理化が求められる特定プラスチック使用製品(フォーク・スプーン・ストローなど)の提供方法、料金算定の基礎となる人数の通知期限(有料人数の確定期限)と実際の調理量・変更期限を確認する運用、地元食材の仕入れ状況が確認の対象です。制度の詳細と確認項目はサステナブルなMICEに宴会部門が対応するにはで扱っています。
地域性の要望では、自館が仕入れ・手配する範囲と、外部事業者を紹介するにとどまる範囲を分けます。外部のプログラムを自館の見積に含める場合は、契約当事者と手数料の扱いを契約前に確認します。
120名の販売会議で要望を確認する場合
製薬会社が120名の販売会議と会食を計画し、要望書に「サステナブルで、遠隔地の拠点も参加できる形式」と書いてきた場面を想定します。担当者は「サステナブル」を使い捨て品の削減と食品ロスの削減の二項目に、「遠隔地の拠点も参加」を配信の要否、視聴専用か双方向か、録画の要否に分けて質問します。回答では、会食の提供方法(個別提供かビュッフェか)と有料人数の確定期限、会場の回線と配信事業者の分担を記載し、実施済みの取り組みと今回確認した対応を区別します。
この想定は説明のための架空の例です。要望語の分解の仕方は催事ごとに異なります。
要望語を受け取ったときのチェックリスト
要望書・RFPに書かれたトレンド語を抜き出し、一語ずつ具体的な項目に分ける
各項目について「何を」「いつまでに」「誰が」実施するのかを主催者に確認する
自館の対応可否を部門(料飲、宴会サービス、施設、宿泊)ごとに確認する
対応できる項目は運用の根拠とともに、対応できない項目はその旨を回答に記載する
外部事業者を紹介する項目は、契約当事者と手数料の扱いを確認する
食事制限など個人情報を含む情報は、本人同意等の取得・提供手続、利用目的、共有先、保管・削除方法を確認する
よくある質問
Q. 主催者から「サステナブルな催事にしたい」と言われたとき、最初に何を確認しますか。
語を具体的な項目に分けます。使い捨て品の削減、食品ロスの削減、地元食材の使用、印刷物の削減のどれを指しているかを確認し、自館が実施している運用と今回提供できる対応を区別して回答します。
Q. 六つのトレンド語は提案書にそのまま使ってよいですか。
語だけを書くと主催者と自館で意味が食い違う場合があります。本記事では、語ではなく確認済みの項目(提供方法、設備、期限)を提案書に書くことを勧めています。
Q. ハイブリッド開催の要望で、会場はどこまで対応しますか。
施設により異なります。回線、電源、映像・音声の出力までを会場が提供し、カメラや配信PCなどは配信事業者が担う例があります。分担を見積に明記します。
語ではなく確認済みの項目で回答する
ホテルの宴会・MICEセールスのための管理システムを提供するルーブックでは、問い合わせ内容、案件ステータス、見積履歴を一つの流れで管理できるRoovook EMSを提供しています。Roovook e-RFPでは、確認済みの項目を反映した見積書をモバイル対応のWebリンクで共有できます。
要望書の語を担当者ごとに違う意味で受け取り、回答の内容がそろわない——その確認項目の整え方から相談したい場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。