観光立国推進基本計画(第5次)とは
観光立国推進基本計画(第5次)とは、観光立国推進基本法に基づき2026年(令和8年)3月27日に閣議決定された、2026年度から2030年度までの5年間を計画期間とする国の観光政策の基本計画です。計画の本文と概要は観光庁の計画掲載ページで公開されています。本記事では、この計画のうちホテルの宴会・MICEセールスに関係する目標と施策を取り出し、自館の提案や年間計画で何を確認するかを整理します。
ひと目でわかるポイント
計画は11の目標を掲げ、そのうち「国際会議の開催件数」が宴会・MICEに直接関係します。2030年の目標は「アジア最上位、世界5位以内」です。
目標7の開催件数はICCA(国際会議協会)の統計基準による指標で、企業内会議や単独の表彰式をそのまま数える指標ではありません。
主な施策には「MICE誘致・開催、IR整備の推進」が挙げられていますが、個別のホテルへの支援を定めた文書ではありません。
自館で確認するのは、目標の対象と自館の案件の区別、地域のコンベンションビューローの支援、引用時の出典表記の三点です。
宴会・MICEに関係する目標と数値
目標(計画の番号) | 2030年の目標 | 公表されている実績 | 宴会セールスとの関係 |
|---|---|---|---|
7 国際会議の開催件数 | アジア最上位、世界5位以内 | 2024年:アジア最大開催国、世界7位/2025年:アジア最大開催国、世界6位 | ICCA基準の国際会議。付随する宴会・宿泊の案件とは分けて把握 |
2 訪日外国人旅行者数 | 6,000万人 | 2025年:4,268万人 | 海外主催者の会議・報奨旅行の宿泊・宴会と関係 |
4 訪日外国人旅行消費額 | 15兆円 | 2025年:9.5兆円 | この概要の消費額目標に宴会単独の内訳はない |
11 宿泊業が創出した付加価値額(新設) | 6.8兆円 | 2024年度:4.3兆円 | 宿泊業全体の指標。宴会部門の内訳は別途自館で集計 |
数値は観光庁公表の概要資料(PDF)に記載された目標値と実績値です(2026年9月18日確認。掲載中の概要は2025年実績を反映した版です)。実績値は更新される場合があるため、提案書に転記するときは資料の版と確認日を書き添えます。
国際会議の件数目標が宴会に関係する範囲
目標7の国際会議開催件数は、ICCA(国際会議協会)の統計基準による指標です。原則として参加者50名以上で、定期的に開催され、開催国が3か国以上を巡回する会議が対象です。日本政府観光局(JNTO)が独自の基準で集計する国際会議統計とは基準が異なるため、両者の件数を混同しないようにします(JNTO 国際会議統計にはICCA・UIAの世界統計も掲載されています)。
自館の企業内会議や懇親会は、目標7の会議開催件数とは分けて把握します。一方で、国際会議には懇親会、レセプション、分科会、同伴者向けプログラムなどが付随し、その会場や宿泊がホテルに依頼される場合があります。目標の対象と自館の案件の関係を説明するときは、「国際会議本体」と「付随する宴会・宿泊」を分けて書きます。統計の基準と引用時の確認事項はホテル宴会・MICE提案で統計を引用するときの確認事項で扱っています。
施策一覧に書かれていることと、書かれていないこと
概要資料の「主な施策一覧①」では、「MICE誘致・開催、IR整備の推進」が「地方誘客及び消費拡大に効果の高い観光コンテンツの充実」の下に、GREEN×EXPO 2027を活用した情報発信が「地方の観光地の魅力向上・地方誘客」の下に置かれています。
計画は国の施策の方向性を示す文書で、個別のホテルへの助成や、宴会場の料金・契約条件を定めるものではありません。主催者向けの助成金や視察受入などの具体的な支援は、地域のコンベンションビューローや自治体が個別に定めています。支援の区分と確認方法はコンベンションビューローの支援制度を宴会提案に組み込むで扱っています。
自館で確認する三つの項目
目標の対象と自館の案件の区別:自館の案件のうち、ICCA基準の国際会議に付随する宴会・宿泊と、企業会議・報奨旅行の案件を分けて、前年の案件記録から件数を確認します。
地域の支援制度:自館の所在地のコンベンションビューローが、主催者向けにどの支援(助成金、視察受入、レセプション会場の紹介など)を公表しているかを確認します。
引用時の出典表記:計画の数値を提案書に載せる場合は、資料名、閣議決定日、目標か実績か、実績の対象年を書き添えます。
年間計画の見直しで計画を参照する場合
地方都市のホテルが、翌年度の宴会営業の年間計画を見直す場面を想定します。担当者は概要資料から目標7と目標6(訪日外国人旅行者の地方部における延べ宿泊者数1.3億人泊)を抜き出し、自館の所在地が計画上の「地方部」(計画で定める三大都市圏の8都府県以外)に当たることを確認します。次に、前年の案件記録から、国際会議に付随する案件と、企業会議・報奨旅行の案件を分けて件数と宿泊室数を集計し、地域のコンベンションビューローの支援一覧を営業資料に添えます。
この想定は説明のための架空の例です。計画の目標値は全国の数値であり、自館の需要予測に置き換えることはできません。年間計画の組み立て方はホテル宴会の年間営業カレンダーで扱っています。
計画を参照するときのチェックリスト
概要資料と本文のどちらを参照したか、閣議決定日(2026年3月27日)とともに記録する
引用する数値が目標値か実績値か、実績値の対象年を明記する
目標7がICCA基準の指標であることを注記し、企業の会議・懇親会と区別する
自館の案件のうち国際会議に付随する宴会・宿泊の件数を前年記録から確認する
所在地のコンベンションビューローの支援一覧を確認し、営業資料に添える
次回の改定や実績値の更新を確認する担当者を決める
よくある質問
Q. 計画の国際会議の目標に、企業の会議や表彰式は含まれますか。
企業内会議や単独の表彰式をそのまま数える指標ではありません。目標7はICCA基準による国際会議の開催件数です。付随する宴会・宿泊は自館の案件記録で別に把握します。
Q. 計画にホテルが受けられる助成金は書かれていますか。
計画は施策の方向性を示す文書で、個別のホテルへの助成を定めていません。主催者向けの助成金や支援は、地域のコンベンションビューローや自治体が個別に公表しています。
Q. 計画の数値を提案書に載せるときに必要な表記は何ですか。
資料名(観光立国推進基本計画(第5次)概要)、閣議決定日、目標値か実績値かの区別、実績値の対象年と確認日を書き添えます。
国の計画は範囲を確かめて参照する
ホテルの宴会・MICEセールスのための管理システムを提供するルーブックでは、問い合わせ内容、案件ステータス、見積履歴を一つの流れで管理できるRoovook EMSを提供しています。国際会議に付随する案件かどうかの分類は自館で決めて記録する運用になります。
国の計画や統計を提案書に載せたいが、自館の案件のうちどれが対象なのかを記録から数えられない——その案件記録の整え方から相談したい場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。